ペダリングを4つに解析。[4分割分析(QUADRANT ANALYSYS)]
出力方法にもいろいろあります。
例えば200wの出力でペダルを踏んだとします。
その時のケイデンスは何rpmだったのでしょうか?
同じ200wの出力でペダリングしたとしても、60rpmと120rpmでは動員する筋肉の質が異なります。
パワートレーニングの解析を行うWKO+には、この「どのように出力したのか」を分析したデータを「4分割分析(QUADRANT ANALYSYS)」という形で出力します。
4分割分析(QUADRANT ANALYSYS)とは?
その名の通り、ペダリングを4つの観点に分割して分析したものです。
では、具体的にどのような4つになるのかというと・・・
- QUADRANT 1:高トルク-高ケイデンス
- QUADRANT 2:高トルク-低ケイデンス
- QUADRANT 3:低トルク-低ケイデンス
- QUADRANT 4:低トルク-高ケイデンス
という4つの領域に分けられます。
具体例を見て行こう
私が担当している、プロではないビジネスマンライダーの方のデータ例です。
グラフの縦軸はトルク(AEPF)を示し、横軸はケイデンスの速さ(CPV)を示します。
ワークアウトで出力したポイントをケイデンスでマッピングしたのが青色の点となります。
レースではなく、ビッグライド(週末に行う長時間ライドをイメージしてください)のデータですが、ひと目でわかるのは「Q2」と「Q3」の比重が非常に高いという事。つまり、「ケイデンスが低い」という事ですよね。
ロードレーサーの場合、その人が得意とする領域=脚質がありますので、”どこのゾーンに入っていれば正解”という事はありません。
ただし、それぞれの領域で動員される筋肉(速筋・遅筋)が異なるという点を考慮する必要があります。
そのライダーがスプリントで勝利したいのか、それとも圧倒的なヒルクライムで勝利したいのか。それぞれに求められる資質(脚質)は異なります。
我々コーチはこのデータを随時チェックし、そのライダーが望む姿に近づけるよう、ワークアウトメニューを変化させます。
重要なのは、単にこのグラフデータを見て、脚質を理解するだけではなく、どのようにワークアウトに落とし込むか。そこはコーチの腕の見せ所だったりもします。
トライアスロンだと・・・?
ロードレースの場合、強度の強弱(ペースの上げ下げ)が非常に激しい為、Q1からQ4まで、まんべんなく適応できるに越したことが無いのですが、ペースが一定なトライアスロンだと、ちょっと話が変わってきます。
前述のようにトライアスロンは基本的にペースは一定です。コースプロフィールもそうですが、競技特性上も相手のペースに合わせるというより、自分のペースを守るという点がとても重要です。
尚且つ、バイクの後にはランが残っています。つまり、ランに力を温存したペダリングをする必要があります。
では、その為にはどのようなペダリングを行えば良いのでしょうか?
その答えが4分割分析(QUADRANT ANALYSYS)によって導き出されるのです。
どの領域にどれくらいのボリュームを入れたら、バイクをラクに進められ、かつ、ランに足が残せるのか。
もちろん、トライアスリートの一人ひとりの脚質などがあるので、ここでは”ズバリ、この方法です!”という答えは出せませんが・・・その為のヒントになるデータはグラフの中に無限に広がっています。
そのヒントを紐解き、そのアスリートにフィットしたワークアウトを設定して、実践していただいた結果、数値が向上していく。
その成功体験をアスリートと一緒に経験する度に、コーチとしての喜びを実感します。
パワートレーニング=ロードレーサーのためのもの。というイメージがありますが、近年ではトライアスリートの方からの問い合わせがとても増えてきています。むしろ、トライアスリートにこそ、パワートレーニングを有効活用していただきたいですね。